2017.07.03
相続で取得した不動産を売却しようと考えたとき、被相続人の方がいくらでその不動産を取得したかわからないことがあります。
税法では、売却価額の5%を取得費とするという取り扱いがあります。
この取り扱い、昭和27年12月31日以前に取得した不動産については、取得費が不明な場合は強制適用となるのですが、昭和28年1月1日以降取得したものについては、任意適用となっています。
では、昭和28年1月1日以降に取得した不動産の取得価額が不明な場合に、実際はどうするかというと、安易に任意適用である「売却価額の5%」を取得費とすると、残り95%に税金がかかってきてしまうわけですから、大変不利です。
ですので、実務上は可能な限り、相続人等関係者からのヒアリング、購入時に関与した不動産業者や金融機関、管理組合へ問い合わせ、税務署へ過去の特例適用の有無の確認などを行い、当時の取得費に関係する根拠資料を集めます。
これらの作業は大変手がかかりますので、不動産をご購入される場合は、必ず取得時の資料を保存しておくようお勧め致します。