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海外からのリモート勤務に係る税務

2021.08.16

 

コロナ渦の影響によりリモート勤務が当たり前の世の中になってきました。オフィス出社を前提としない働き方では、遠隔地から働くことや、海外から日本の会社の業務を行うことも可能となります。そこで今回は、海外から日本の会社にリモート勤務をする場合の税務上の取り扱いについて考えてみました。

 

・居住者 or 非居住者

居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます(所得税法第2条1項3号)。海外から日本の会社にリモート勤務という前提では、海外勤務者は居住者には該当せず、非居住者ということとなります。

 

・国内源泉所得 or 国外源泉所得

海外から日本の会社にリモートで働く時に、給与は日本にある従業員の銀行口座に支払われる場合においては、その給与所得は国内源泉所得になるのでしょうか。国内源泉所得(給与の場合)とは、「給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務等を含む)に起因するもの」とされており(所得税法第161条1項12,所得税法施行令第285条)、海外から日本の会社にリモート勤務する場合には、日本国内で勤務を行っていないため、国外源泉所得となり、日本における課税関係は生じません(従業員の場合)。

但し、上述の者が日本法人の役員である場合には、非居住者であっても国内源泉所得に該当します。従って、非居住者に対して国内源泉所得を支払う場合には、原則20.42%の源泉所得税が課税されます。(実務上は非居住者の居住地国の租税条約を確認します。)

 

また、居住地国や業務内容によっては、居住地国でのPEリスクがありますので、事前に検討をしておく必要があります。

 

その他、海外に赴任する年の給与所得について出国時までに年末調整で精算するか、納税管理人を選任し納税管理人が翌年3月15日までに所得税の確定申告する必要がありますのでご注意ください。