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インド法人からの人的役務の提供

2021.05.26

 

昨今、実務上、日本とインドとの取引が増えている印象があります。弊社でもインド系の会社様や取引が増えてきておりますが、インドとの取引がある会社は税務上の注意が必要です。

例えば、日本の会社がインドにある会社から人的役務の提供を受けた場合には、日本の税務上の取り扱いはどうなるのでしょうか。

実務上よく出てくるのは、日本から、インドの会社へコンサルティングやソフトウェアの開発などを外注するケースです。

 

 

<所得税の取り扱い>

日本の国内法では、所得税法第161条第1項第6号において、「国内において・・・」との記載があるため、外国で行われる役務の提供は、ほとんどの場合、日本における源泉徴収は不要です(いわゆる使用地主義)。しかしながら、所得税法第162条において、国内法と租税条約で異なる定めがある場合には、租税条約が優先される旨の規定があります。日印租税条約では第12条(使用料及び技術上の役務に対する料金)第2項において、「使用料及び技術上の役務に対する料金に対しては、これらが生じた国において租税を課すことができる。」と規定されており、支払者の国(いわゆる債務者主義、今回のケースでいうと日本)により源泉地国が決定されることとなります。

国内法での人的役務の提供の定義は、「科学技術、経営管理その他の分野に関する専門的知識又は特別の技能を有する者の当該知識又は技能を活用して行う役務の提供を主たる内容とする事業と規定されており(所得税法第282条第一項第3号)、

日印租税条約では技術上の役務に対する料金を、「技術者その他の人員によって提供される役務を含む経営的若しくは技術的性質の役務又はコンサルタントの役務の対価としてのすべての支払金をいう。」と規定されております。(日印租税条約第12条第4項)

上記の技術上の役務の定義に該当すると、日本の国内法では源泉所得税(20.42%)が課税されますが、租税条約に関する届出書を提出すれば10%に軽減が可能です。

<法人税の取り扱い>

日本の法人税法についても、所得税法と同様に原則使用地主義で、日本における法人税申告は不要ですが、法人税法第139条で租税条約が優先される規定があり、かつ、第141条で恒久的施設を有しない外国法人であっても人的役務の提供に該当する場合には、法人税申告が必要となりますので、上述のインド法人につき、日本での法人税申告が必要となります。納税管理人を選定の上、外国普通法人となった旨の届出書を提出し、外国法人の事業年度終了の日から2か月内の申告します。日本においてPE (Permanent establishment=恒久的施設)を有していなければ、法人税は国税のみ課税され、地方税は課税されません。