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法人の外貨建取引及び社内レートの適用について

2020.07.14

今回は法人の外貨建取引について考えてみたいと思います。

<外貨建取引とは>

法人税法上、外貨建取引とは、支払が外国通貨で行われることとされている全ての取引をいいます。したがって、外国通貨で表示されているものであっても、円貨で支払が行われるものは外貨建取引には該当しません。

<期中の処理>

先物外国為替契約以外の外貨建取引の期中換算方法は、「外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により円換算した金額」とされております(スポットレート)。具体的には、取引を計上すべき日における電信売相場(TTS)と電信買相場(TTB)の仲値(TTM)とされていますが、継続適用を要件として、収益・資産についてはTTBレート、費用・負債についてはTTSレートを使用することも認められております。

また、取引を計上すべき日についても、継続適用を要件に、取引の属する月や、その週の前月、前週の末日、当月もしくは当週の初日のレートの他、前月や、前週平均レートについても認められております。

<社内レートの適用について>

海外を含むグループ会社間で社内の為替レート(「社内レート」)を使用している場合には、社内レートが上述のような実勢レートを参考に設定されている場合など合理的なレートである場合には、当該社内レートの適用が可能です。しかし、1か月を超える固定社内レートを使用する場合などは、当該社内レートは税務上認められないこととなりますので、税務調整が必要となります。

<期末の処理>

期末に有する外貨建ての資産・負債については、短期と長期で換算方法が異なります。短期とは1年以内に決済されるものをいいます。

外貨建取引の仕訳例は以下の通りです。

<売上時仕訳>

①部品A(1個1ドル)を10個売上げた場合(売上時のレート1ドル=100円)

(借)売掛金 1,000円(1ドル x 10個 x 換算レート100円)(貸)売上1,000円 

<期末時仕訳>

②期末において売掛金は未入金であった。(期末日レート1ドル=110円)

(借)売掛金100円(10ドル x (110円△100円)(貸)為替差損益100円

<決済時>

③売掛金10ドルが円貨で入金があった。(入金時のレート1ドル=105円)

(借)現預金1,050円(10ドル x 105円)   (貸)売掛金1,100円

   為替差損益 50円

 

上記の仕訳例②では期末時に換算替えを行う例となっておりますが、外資系企業の本社へのレポーティングの際には月次ベースで為替差損益を認識する場合がございます。その場合には、上記②の期末時を月末時と読み替えて処理いたします。