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国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税について/リバースチャージ方式

2020.06.05

国境を越えて行われた電気通信利用役務の提供に係る消費税については、2015年10月より改正が行われています。

電気通信利用役務の提供に該当する取引は以下のような取引が該当します。

 

●インターネット等を通じて行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信

●顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス

●顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス

●インターネット等を通じた広告の配信・掲載

●インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス

●インターネット上でゲームソフト等を販売する場所(WEBサイト)を利用させるサービス

●インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイトなど

 

(国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」、「消費税基本通達5-8-3https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/05/08.htmより)

 

消費税法上の内外判定と課税関係は以下の通りです。

 

 

次に具体例を見てみましょう。

国内事業者(法人)であるAが、国外事業者であるB(Amazonなど)のプラットフォームを通じて、日本の消費者Cに電子書籍(Kindle版など)の販売をする場合、日本における消費税の課税関係はどうなるでしょうか。

 

日本の消費者CがAmazonのサイトから電子書籍(Kindle版など)を購入した場合、販売者は日本法人であるアマゾンジャパン合同会社ではなく、国外事業者であるAmazon Services International, Inc.(注)になるようですので、電子書籍の購入代金が1000、BがAにBの手数料200を差し引いた800の支払をするといたしますと、日本の事業者Aの経理処理を1000の販売と支払手数料200の支払の取引に分解します。

(注)Amazon Services International, Inc.は登録国外事業者に該当(国税庁「登録国外事業者名簿」)

 

<電子書籍の販売売上>・・・役務の提供を受ける者(C)の住所地が日本であることから国内取引となり、課税の対象となります。

売掛金1000 /売上909                         

                  仮受消費税91

 

<Amazon Services International, Inc.に支払う(から差し引かれる)手数料>

Aが国外事業者Bに支払う手数料は、国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供に該当し、リバースチャージ方式の対象となります。

●Aの課税売上割合が95%以上の場合・・・リバースチャージ方式に該当するものの課税売上割合が95%以上のため不適用(不課税)

支払手数料200 /未払金(Amazon) 200 となります。

 

●Aの課税売上割合が95%未満の場合・・・リバースチャージ方式の適用有(内税の場合)

支払手数料182 /未払金200

仮払消費税18 /

 

上述のように、消費税の取扱は複雑となっており、実務上は間違いが多いので注意が必要です。