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法人税法第22条の2 ~収益計上基準の見直し 税法への影響~

2018.07.02

平成30年度改正にて、法人税法第22条の2が創設され、収益の計上時期及び収益の計上額が法定されました。

 今回の改正の背景といたしましては

 

2014年 

国際会計基準審議会(IASB)が収益認識に関する新基準である、IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」を公表、201811日以後開始する事業年度より強制適用

同時に米国財務会計基準審議会(FASB)もほぼ同じ内容の新収益認識基準を公表

 

20183

日本においても、企業会計基準委員会(ASBJ)が、IFRS15条基本的内容をすべて取り入れる一方で、国際的な許容範囲内の代替的取り扱いを定めた企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」を公表

 

 という流れがあり、それに対応する形で、今回の法人税法及び基本通達改正に至りました。

 

 では具体的に何が変わったかといいますと、基本的には従来の取り扱いを法人税法上で明確化し、かつ、新会計基準での処理も容認する形をとっています。

 

 なので、法人税法上はそこまで気にする必要もなさそうですが、国税庁からの公表例や税務通信を拝見いたしますと、法人税より消費税について注意が必要そうです。

 

 消費税については、消費税の計上基準となる「資産の譲渡等」について何ら改正もされていないため、現時点では従来どおりの取り扱いとなります。

 

 例えば今回の改正により、保守サービス付商品を販売した場合、

新会計基準及び法人税法では

販売価格を①商品の販売部分と②保守サービス部分とに分け、①を商品の引き渡した日の属する事業年度の収益として、②を保守サービス期間にわたって収益計上

という処理をした場合でも、

消費税法上では

販売価格の合計額を商品を引き渡した日の属する事業年度の課税売上として認識しなければならない

ので、消費税の申告の際にはその差を加味して計算が必要となってきてしまいます。

 

他にも国税庁から今回の収益認識基準の改正に関する様々な情報が公表されていますのでご参照いただければと思います。

(以下国税庁HP

http://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

 

まだ改正されたばかりですので、今後、実務に沿った何らかの改正や取り扱いの公表があるかもしれません。

今後の動向に注目したいと思います。