2018.05.22
中小企業の高齢化に対処するため、平成30年1月1日からの10年間(平成39年12月31日まで)の期間限定措置として、事業承継税制の特例が創設されました。
現行の事業承継税制は、納税猶予となる対象範囲が狭いことや、適用後の継続要件が厳しいことなどから、その適用を躊躇する経営者の方が多く存在しましたが、今回の特例の創設によりだいぶ使いやすくなったのではないかと思われます。
☆一般の事業承継税制と特例との違い☆
①対象株式数
(一般)総株式数の最大3分の2 →(特例)全株式対象
②納税猶予割合
(一般)贈与100% 相続80% →(特例)贈与・相続ともに100%
③後継者の人数
(一般)1人 →(特例)最大3人
④雇用確保割合
(一般)承継後5年間は平均8割キープ できなかったら猶予打ち切り
→(特例)8割切っても理由報告すれば猶予の継続可能
⑤承継後に事業継続悪化し、株を譲渡又は解散した場合
(一般)猶予されていた額(承継時の価額ベース)を納付
→(特例)悪化後の株価を基に再計算し、その差額を免除
⑥相続時精算課税制度の適用範囲
(一般)60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫への贈与が対象
→(特例)60歳以上の贈与者から20歳以上の者への贈与が対象
(子や孫でない場合にも適用可能)
この特例の適用を受けるためには、平成35年(2023年)3月31日までに「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関の所見を記載の上、都道府県知事に提出し確認を受ける必要があります。
この承継計画は、平成35年(2023年)3月31日までの相続・贈与については、相続・贈与後に提出することも可能ではありますが、この計画書の提出をしたからといって特例の強制適用というわけではありませんし、関係者間で近い将来会社をどうするかを話し合う良い機会になるのではないかと思います。気づいたら期限が切れていたということにならないためにも、早い時期に届出だけでも作成提出しておくことをお勧めいたします。
ビジョナリーは、この承継計画の提出に必要な所見が記載できる「経営革新等支援機関」の認定を受けております。この特例の詳細事項やその他事業承継について、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
(上記は平成30年5月22日までに公表されている情報に基づいて記載させていただいています。)