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租税条約について

2018.05.07

前回ご説明させていただきました通り、非居住者又は外国法人へ一定の支払いをする際は、源泉所得税を徴収する必要が生じます。ただし、その外国と日本国が租税条約を締結している場合、源泉徴収税額が軽減又は免除される場合がございます。

 

租税条約とは?

二国間で二重課税を排除又は調整するために結ばれる条約です。

 

例えば

日本の100%子会社(非上場)がアメリカの親会社に配当を支払う場合

国内法→20.42%の源泉徴収

租税条約→免税(源泉徴収必要なし)

 

非居住者又は外国法人へ支払いをする際は、まずは国内法を確認し、その後租税条約の有無、内容を確認します。

 

適用方法

租税条約を適用して、源泉徴収税の軽減又は免除を受けようとする場合は、「租税条約に関する届出書」をその支払い日の前日までに、支払者の所轄税務署に提出します。

期限までに届出をしなかった場合は、一度国内法に定められている税率により源泉徴収をし、その後、届出書提出以後に還付請求をする必要がございます。

また、その国の租税条約に特典制限条項(LOB)が付されている場合には、届出書に「特典条項に関する付表」及び「居住者証明書」を添付する必要がございます。

 

~「特典制限条項(LOB)」とは?~

租税条約の軽減や免除等の特典の乱用防止のために、特典を受けられる者を制限しようと定められたものです。国によってその有無及びその対象範囲が定められています。20184月現在、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、オランダ、ドイツなどの国との租税条約に設けられています。

 

反対に、日本の法人が外国から配当や使用料等一定の支払いを受ける場合も、その国の税法に基づき源泉徴収等により税金を納めるケースがありますが、この場合も、その国との租税条約により、その税額が軽減又は免除される場合がございますので、その国の税法及びその国との租税条約の確認を怠らないことをお勧めします。

 

※租税条約は国によってその有無及び内容も異なります。本解説の情報のみを基に判断し行動せずに、実際の適用につきましては、専門家にご相談されることをお勧めします。